
天使☆騒々 RE-BOOT! 感想&評価 レビュー
みなさん、ちゃろー☆
ゆずソフトより2023年に発売された「天使☆騒々(てんしそうぞう) RE-BOOT!」をクリアしたので、作品の評価を感想付きでレビューします。
作品概要
あらすじ
いつも通りに起きて、いつも通りに通学し、いつも通りに授業を受ける
今日も変わらぬ、平穏な日常が流れていく——
そう、思っていたのに……「天から使命を下された“天使”。それが僕だ」
突然、どこからともなく目の前に舞い降りた、自称天使の女の子
真っ白で大きな翼を広げる美しい姿で、彼女は言う「谷風李空(たにかぜ りく)——僕は君に会いに来たんだ
“魔王”の生まれ変わりである、君にね」前世は異世界の魔王
それを理解するよりも早く、次から次に騒ぎが押し寄せる前世返り
異世界からの来訪者
そして——「なんで? え? なんで? いや、だって……えぇぇ……?」
いつも通りの日常を失い、一緒に大切なモノも失ってしまった谷風李空
彼の新たな日々が、今始まる……?
登場キャラクター
メインヒロイン
- 白雪 乃愛(CV:瀬戸乃 マリエ、原画:こぶいち)
- 谷風 天音(CV:夏和小、原画:むりりん)
- 小雲雀 来海(CV:柳 ひとみ、原画:むりりん)
- 星河 かぐ耶(CV:遥 そら、原画:こぶいち)
サブヒロイン
- 高楯 オリエ(CV:夏野 こおり)
- 百里 風実花(CV:明羽 杏子)
各種スペック
システム
前作「喫茶ステラと死神の蝶」と比較して、本作から導入された新機能は太字で記載している。
ストーリープレイ画面
セーブ・クイックセーブ、ロード・クイックロード、前のテキストへ移動、前・次のシーンへ移動、前・次の選択肢へ移動、オート、スキップ・バックスキップ、ウインドウ非表示、音声リピート、お気に入りボイス登録、システム設定、バックログ、フローチャート、スクリーンショット、タイトル画面へ移動
エクストラモード
音楽鑑賞(CG鑑賞+ムービー鑑賞・シーン鑑賞)、立ち絵鑑賞、お気に入りボイス鑑賞+シーン回想
システム設定
簡易設定、画面表示、ゲーム進行2種、テキスト、サウンド、ダイアログ、マウス、キーボード、ゲームパッド
シナリオ
共通ルート
Chapter 1 から Chapter 3 まで(チャプター総数 15)
個別ルート
乃愛ルート(チャプター総数 15)、天音ルート(チャプター総数 14)、来海ルート(チャプター総数 21)、かぐ耶ルート(チャプター総数 25)、オリエルート(チャプター総数 12)、風実花ルート(チャプター総数 10)の6つ。
なお、オリエルート及び風実花ルートは、乃愛・天音・来海・かぐ耶のうちいずれか1人以上のエピローグを見終えた場合に、アンロックされる条件あり。
エンディング
全部で9つあり、うち6つは各ヒロインルートのエンディング、残り3つはノーマルエンド1つとバッドエンド2つで構成される。
アフターストーリー
各ヒロインのエピローグまで見終えるごとに、そのヒロインのアフターストーリーがアンロックされる(乃愛・天音・来海・かぐ耶・オリエ・風実花で1話ずつ)。
ムービー曲
オープニング
- 「FUN FUN RE-BOOT」 歌:QUARTET☆RE-BOOT!
エンディング
- 乃愛ルート 「Call My Name」 歌:瀬戸乃マリエ
- 天音ルート 「ねえ。」 歌:葉月(Angel Note)
- 来海ルート 「以心伝心ジャーニー」 歌:霜月はるか
- かぐ耶ルート 「DIVE」 歌:Riryka
- オリエルート 「幸せの魔法」 歌:月城花梨
- 風実花ルート 「wish」 歌:明羽杏子
シナリオ評論
没入感不足な動機付けの弱さ
一般的には、ストーリーは起承転結(もしくは、序破急)で構成されているものであり、導入のパートで、プレイヤーを惹きつけ、没入させていくための「動機付け」、いわゆる「大義名分」が存在する。
本作は、他者から巻き込まれる・他者を巻き込むような「外的要因」によるものではなく、主人公で自己完結するような「内的要因」による問題・課題にほぼ帰結しており、この動機付けがとても弱いのである。なお、本作においても外的要因は存在するが、ストーリー中にすんなりと解決してしまうため、問題として扱えない。
もちろん、内的要因を起点とするストーリーが悪いというわけではないが、現代に生きる我々にとっては他人の問題に自ら首を突っ込む機会はほとんどない。そのため、「正直どうでもよい」という感情が最初に想起されることで、感情移入できないプレイヤーが大多数を占めるであろう。
では、一方で外的要因による動機付けとは何だろうか。同じゆずソフトの作品にもいくつかあるが、「千恋*万花」を一例として挙げよう。この作品では、町おこしのイベントに使っていた御神刀を、主人公がポッキリ折ってしまったところからストーリーが始まる。町おこしのイベントが出来なくなる、という他者に迷惑をかけた責任を追わなければいけないので、刀の管理者を名乗る少女の幽霊が見えるようになったり、巫女姫と婚約を結ばせられたりと、いきなりすぎるイベントが発生しても、動機付けや大義名分は十分にあることで、納得もしやすいのである。
とはいえ、本作は外的要因よりも内的要因に比重を置きすぎたことが、没入感不足の主な原因ではなかろうか。これは、ストーリーを作り込む上では巻き込まれ型主人公は難易度が低い、という証左だろう。
活かしきれていない設定
主人公の前世が魔王であったり、天音と来海の前世が魔王軍の幹部であったり等の前世の異世界に関する設定が、ほとんど活かしきれていないように感じた。具体的には、物語の舞台が現代世界であるため、異世界要素がシナリオを構成する要素として調和を乱す異物になっているのである。
したがって、前世に関する設定をまるごと取り除いて、現代世界において代替できるようなそれらしい理由や設定を付ければ成立してしまう。むしろ、ストーリーとしては、そちらの方がより面白くできた可能性もある。もちろん、異世界に関する設定までまるごと取り除くと、かぐ耶やオリエを存在させられなくなってしまうので、削るにも限度はあるが。
以上のことを考慮するのであれば、すべての要素を違和感なく成立させるために、物語の舞台を異世界にするべきだったと言える。とはいえ、ゆずソフトの作品は、おそらく例外なく現代世界設定限定で作っているだろうから、そもそもの前提からしてかなり難しい題材で難産だったに違いない。こういったことから、異なる二つの世界の要素を混ぜ込むのは、タブーと言っても差支えないだろう。
舞台装置にされた登場人物
本作は共通ルートにおいて、登場人物が意志を持って動いている、というよりかは、舞台装置としてシナリオライターに動かされている、と強く感じた。
特に印象的だったのは、主人公の自己に起因する問題を解決するにあたり、主人公に対して、関係性をそれほど構築できておらず、距離感もそれほど近くもないはずのメインヒロインたちが、どちらかと言うと積極的に協力してくれることに対してだった。
それは、彼女らが性格が良すぎる善人なことで、人間性におけるリアリティの描写不足が見え、作中で生きている息遣いを感じず、張りぼての作り物に見えてしまった結果が齎したものであろう。
人間とは、行動には打算や好意などの意図があるし、性格も良いところと悪いところの両面を備えているものなのだから、それをバックグラウンドとしてプレイヤーには、納得できる形で明示すべきだったのではないだろうか。前作の「喫茶ステラと死神の蝶」までのメインヒロインのように、主人公への当たりの強さや性格の少しの悪さが垣間見える方が、世界観に没入できるのである。
強みを捨てて残るモノとは
筆者は3作目の「夏空カナタ」以降、ゆずソフトの全ての作品(※注:本作まで)を嗜んできたが、それらから特に優れた作品をピックアップした時に分かる、ゆずソフトの強みとは、「付き合ったばかりの初々しいカップルをニヤニヤしながら眺められる作品を創れること」なのである。そして、美少女ゲームでは、「初々しい可愛さ」から昇華される「萌え」が重要なアイデンティティとなる。
しかしながら、本作はその強みである「萌え」を捨ててしまっているのである。ゆえに、作品の方向性は、キャラゲーではなく抜きゲーになっており、従来のアイデンティティを喪失している。「萌え」は美少女ゲームからしか摂取できないが、「抜き」はリアルでも摂取できることを忘れてはいけない。
また、フローチャートにも直接的な性的表現が含まれていることから、おそらくサノバウィッチ以上にスカスカになることが予想され、Steam 移植は非常に難しいと思われる。
最新作「ライムライト・レモネードジャム」では、これらの問題点が解決されていることを祈りたい。
作品評定
評点
グラフィック・キャラクター・プレイ環境のいずれも最高品質だが、キャラゲーやシナリオゲーというよりかは抜きゲーになるため、シナリオの観点で人を選ぶ作品。
評点の内訳
| カテゴリ | 項目 | 点数 |
|---|---|---|
| シナリオ | 世界観 | 5/10点 |
| 構成 | 6/10点 | |
| 演出 | 5/10点 | |
| 合計 | 16/30点 | |
| グラフィック | クオリティ | 10/10点 |
| ボリューム | 7/10点 | |
| 合計 | 18/20点 | |
| キャラクター | 作り込み | 10/10点 |
| ボイス | 10/10点 | |
| 合計 | 20/20点 | |
| プレイ環境 | 音楽 | 9/10点 |
| 動画 | 10/10点 | |
| システム | 9/10点 | |
| 合計 | 28/30点 |
コメント
シナリオ
高品質のグラフィックやキャラクター、プレイ環境の足を引っ張った形になったのは、シナリオである。ゆえに、今回はメインヒロインについての評論ではなく、シナリオについて評論を書いたので、詳細は前述をご覧いただきたい。
グラフィック
今作は、こぶいち先生とむりりん先生の2人に、ほかん先生と羽澄りお先生の2人を加えた原画4人体制ということで少々不安はあったが、プレイしてみれば違和感はほとんど感じることなく、全くの杞憂だった。その一方で、通常シーンとHシーンのイベントスチルのボリューム配分が非常に悪かったように感じた(そのため、他のレビュー記事と異なり、本記事ではスクリーンショットがない事態になっている)。
キャラクター
イメージ通りのボイスに、プレイしていて不快にならない性格と、キャラクターを表現するための作り込みにおいて、美少女ゲームでトップクラスの出来を誇る。流石、ゆずソフトと言ったところ。右に出るものは居ないと言っても過言ではないだろう。ただし、ストーリー進行のためにキャラクターを動かしているように見えたシーンもあったため、そこは残念だった(この点については、シナリオが減点対象)。
プレイ環境
OPはフルアニメーションとなっていてとてもクオリティが高く、ED曲も従来通りキャラクターごとにストーリーに則した内容であり、良く出来ていると言える。システムについては、ビジュアルノベルゲームをプレイするための快適性は相変わらず高くて素晴らしいが、前作までと比べると進化した点は見られなかったため、今後も頑張って欲しいという意味で少し減点した。
作品購入リンク
レビューを見て本作が気になったら、DMM から購入してプレイしてみてください。
DMM R18版

天使☆騒々 RE-BOOT! 感想&評価 レビュー
https://blog.chaotic-notes.com/articles/review-tenshi-souzou-re-boot/



