首都圏3方面と連絡する羽田空港アクセス線の建設計画

首都圏3方面と連絡する羽田空港アクセス線の建設計画

羽田空港とJR線田町駅方面・りんかい線大井町駅方面及び東京テレポート駅方面の首都圏3方向を結ぶ空港連絡鉄道の建設予定計画をご紹介します。

はじめに

羽田空港アクセス線は、東山手ルート(JR線田町駅方面)、西山手ルート(JR線・りんかい線大井町駅方面)、臨海部ルート(りんかい線東京テレポート駅方面)の都市圏3方向と、東京国際空港(羽田空港)を結ぶ予定の空港連絡鉄道です。
この記事は、その羽田空港アクセス線の建設実現までの道のりと、各方面へのルートについての建設計画内容を紹介するものになります。

建設実現までの経緯

JR東日本によって工事が進められている羽田空港アクセス線ですが、皆さんが思っている以上に古くから建設計画が存在しており、なんと今から26年前に構想されました。このセクションでは、工事着手に至るまでの紆余曲折の経緯を資料から辿ります。

計画の構想

2000年の運輸省運輸政策審議会答申第18号「東京圏における高速鉄道に関する基本計画について」の「路線の新設・複々線化等の整備計画」にて、「<22>東京臨海高速鉄道臨海副都心線の建設及び羽田アクセス新線(仮称)の新設」及び「<27>東海道貨物支線の旅客線化等及び川崎アプローチ線(仮称)の新設」として取り上げられたことが、新線建設計画の始まりです。
この新線は、当時全線未開通だった東京臨海高速鉄道臨海副都心線(現:りんかい線)の東京テレポート駅から分岐し、東京貨物ターミナル駅を経て、羽田空港へ至る路線として「今後整備について検討すべき路線(B)」とされました。しかしながら、2年後の2002年にJR東日本が東京モノレールを子会社化したことで、空港連絡鉄道の計画はしばらくの間暗礁に乗り上げます。

計画の構想

計画の具体化

およそ10年の月日が流れた2013年10月に、JR東日本が「グループ経営構想 Ⅴ ファイブ 『今後の重点取組み事項』について」で、「東京圏鉄道ネットワークの拡充」として、今後の羽田空港の利用客増加を見据えた、空港アクセス改善策について検討していることを発表します。
更に3年後の2016年に、国土交通省交通政策審議会による「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」にて、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」の「<2>羽田空港アクセス線の新設及び京葉線・りんかい線相互直通運転化」として、東山手ルート・西山手ルート・臨海部ルートの3つが具体的な計画として取り上げられました。

計画の具体化

事業化の推進

東京都が、2018年度予算で羽田空港アクセス線を始めとする6路線の事業化に向けて「鉄道新線建設等準備基金」を設立し、東京メトロの配当を毎年度積み立てることで、総額1億円を見込む建設費に充当していく動きを見せます。
また、JR東日本も、2018年に発表した「グループ経営ビジョン『変革 2027』」にて、輸送サービスの質的変革として「羽田空港アクセス線構想の推進」について、3ルートから羽田空港へのダイレクトアクセスを実現させることを明記し、翌2019年から環境影響評価に着手しました。

事業化の推進

事業認可と工事着手

2021年にJR東日本は、東京貨物ターミナル駅から羽田空港新駅(仮称)までの区間およそ5.0kmについて、国土交通大臣より第一種鉄道事業許可を取得します。建設費は、東山手ルート(田町駅から東京貨物ターミナル駅まで)の大汐線区間の改良にかかる費用も含めて、全体でおよそ3,000億円と計上されました。その2年後の2023年に、JR東日本は国土交通省より工事施工許可を受けて本格的な工事を開始し、東山手ルートで2031年度の開業を目指すことを発表しました。

3つの新線建設計画

羽田空港アクセス線の3つのルートのうち、JR東日本が2031年度の開業を目指して現在工事を進めているのは、東山手ルートになります。このセクションでは、最初に開業する東山手ルートの建設計画をメインに、残りの西山手ルートと臨海部ルートについても建設計画を見ていきます。

東山手ルート

東山手ルートは、東海道線への接続区間と休止中の大汐線(田町駅付近から東京貨物ターミナル駅まで)の区間及びアクセス新線(東京貨物ターミナル駅から羽田空港新駅)の区間から成ります。このルートは、新幹線のハブとなる東京駅までの所要時間短縮(30分程度から18分程度まで短縮)や、宇都宮線・高崎線・常磐線方面への乗換コスト低減を目的としています。

東山手ルート

東海道線の接続区間

この区間では、東海道線と大汐線の線路を、トンネルを用いてアンダーパスで接続するための工事が進められています。工事の進捗としては、東海道線の線路側にトンネル用地を確保するために、山手線外回り・京浜東北線南行・東海道線上りの線路を移設する段階にあります。
現時点では、2025年1月には田町駅の東京側にある山手線引上げ線が撤去され、2025年4月19日と翌20日には山手線外回り・京浜東北線南行の線路が移設されました。今後は、残りの東海道線上り線路を移設してから、トンネルを掘削して接続線を敷設する予定です。

東海道線の接続区間

大汐線の改修区間

この区間では、20年以上休止していた大汐線の既存設備の健全度を調査したうえで、改修や改良を実施する工事が進められています。

大汐線の改修区間

西山手ルート

西山手ルートは、大井町駅付近でりんかい線と接続する区間とアクセス新線の区間から成ります。このルートは、埼京線との相互直通運転を想定しており、新宿駅方面への所要時間短縮(40分程度から23分程度まで短縮)を目的としていますが、現時点で特に進捗はありません。

臨海部ルート

臨海部ルートは、東京テレポート駅付近でりんかい線と接続する区間(りんかい線の八潮車両基地への回送線)とアクセス新線の区間から成ります。このルートは、京葉線との相互直通運転を想定しており、新木場駅方面への所要時間短縮(40分程度から20分程度まで短縮)を目的としています。また、りんかい線と接続する区間は既に存在し、その部分を複線化工事を実施するのみであるため、2031年度開業を目指すことが2024年に報じられています。

おわりに

羽田空港は、京急蒲田駅改良等による京急線速達化や東京モノレール快速種別設定による所要時間短縮など、アクセス改善が昔から図られてきました。2030年代には羽田空港アクセス線が開通することによって、空港から各地域への導線が最適化され、国際競争力強化に寄与することを期待したいところです。

参考文献

国土交通省

JR東日本

羽田空港アクセス線

首都圏3方面と連絡する羽田空港アクセス線の建設計画

https://blog.chaotic-notes.com/articles/introduce-haneda-airport-access-line/

作者

Hiroki Sugawara

投稿日

2026-10-05

更新日

2026-10-05

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