千恋*万花 感想&評価 レビュー
みなさん、ちゃろー☆
ゆずソフトより2016年に発売された「千恋*万花(せんれんばんか)」をクリアしたので、作品の評価を感想付きでレビューします。
作品概要
あらすじ
湯治場として知られ、交通機関が脆弱で不便な土地である『穂織』の町。ここは、昔ながらの和の風景を残す小京都の街並みであり、観光地として有名であった。
主人公 有地 将臣 は、春祭りによる人手不足解消のため、祖父が経営する旅館『志那都荘』へ手伝いに駆り出される。祖父に挨拶するために『建実神社』へ赴いたところ、岩に刺さった御神刀『叢雨丸』を引き抜くイベントに挑戦することに。しかし、今まで誰も引き抜けなかったというその刀を、引き抜くどころか、ポッキリ折ってしまう。慌てふためく彼をよそに、刀の管理者を名乗る少女の幽霊 ムラサメ が現れ、たちまちのうちに巫女姫である 朝武 芳乃 と婚約を結ばされる。
それから、彼は、穂織の地に纏わる呪いについて知り、深く関わっていくことになる。
登場キャラクター
メインヒロイン
- 朝武 芳乃(CV:遥 そら、原画:こぶいち)
- 常陸 茉子(CV:小鳥居 夕花、原画:むりりん)
- ムラサメ(CV:佐藤 みかん、原画:むりりん)
- レナ・リヒテナウアー(CV:沢澤 砂羽、原画:こぶいち)
サブヒロイン
- 鞍馬 小春(CV:真宮 ゆず)
- 馬庭 芦花(CV:西山 冴希)
各種スペック
システム
前作「サノバウィッチ」と比較して、本作から導入された新機能は太字で記載している。
- ストーリープレイ画面
- セーブ・クイックセーブ、ロード(お気に入りボイス鑑賞+シーン回想)・クイックロード、前・次のシーンへ移動、前・次の選択肢へ移動、オート、スキップ・バックスキップ、ウインドウ非表示、音声リピート、お気に入りボイス登録、システム設定、バックログ、フローチャート
- エクストラモード
- CG鑑賞、BGM鑑賞、シーン鑑賞、ムービー鑑賞、立ち絵鑑賞
- システム設定
- 画面表示、ゲーム進行、テキスト、サウンド、ダイアログ、マウス、ショートカットキー
シナリオ
ヒロインの攻略完了ごとに、アフターストーリーがアンロックされる(芳乃・茉子・ムラサメ・レナ・小春・芦花で1話ずつ)。
- 共通ルート
- チャプター数:17(構成:1-1~3、2-1~7、3-1~7)
- 芳乃ルート
- チャプター数:15(構成:3-8、4-1~3、5-1~5、6-1~2、7-1~3、エピローグ)
- 茉子ルート
- チャプター数:15(構成:3-8、4-1~3、5-1~3、6-1~5、7-1~2、エピローグ)
- ムラサメルート
- チャプター数:23(構成:4-1~4、5-1~4、6-1~4、7-1~3、8-1~5、9-1~2、エピローグ)
- レナルート
- チャプター数:15(構成:3-6、4-1~2、5-1~4、6-1~2、7-1~3、8-1~2、エピローグ)
- 小春ルート
- チャプター数:17(構成:小春&芦花共通 4-1~5・5-1~2・6-1~3、小春個別 6-4・7-1・8-1~4・エピローグ)
- 芦花ルート
- チャプター数:16(構成:小春&芦花共通 4-1~5・5-1~2・6-1~3、芦花個別 6-4~5・7-1・8-1~2・エピローグ)
ムービー曲
- オープニング
- 「恋ひ恋ふ縁」 歌:KOTOKO
- エンディング
- 芳乃ルート 「愛しさと感謝の気持ち」 歌:榊原ゆい
- 茉子ルート 「ふたりで」 歌:Riryka(Angel Note)
- ムラサメルート 「ふたつの影」 歌:春風まゆき(Angel Note)
- レナルート 「GIFT」 歌:カサンドラ
- 小春ルート 「Love flower」 歌:葉月(Angel Note)
- 芦花ルート 「キミのとなり」 歌:tohko
メインヒロイン評論
朝武 芳乃
オススメ度:★★★☆☆
性格や人柄
将臣と同学年で、かつて穂織を治めた朝武家が受け継いできた建実神社の巫女姫である。
当初は、冷たくよそよそしい態度を将臣に頑なに見せており、彼を可哀そうに感じることもあって、彼女への心象は非常に悪い。しかし、ストーリーの進行と共にデレていく様子や、彼女自身の成長が描かれるため、そのうち評価を改めていくことになるであろう。したがって、彼女は、プレイヤーの印象を反転させるギミックによって精巧に創られたヒロインである。
なるほど、ではツンデレか、と言えば、これはギミックの話であって、性格は全く異なるのだ。素直で嘘が付けず、生真面目で責任感があり、強い意志を持ち最後までやり抜く性格である。
個別ルートの感想
個別ルートは、ストーリーの山場をひとつ下りた後に、二つ目が現れることもなくそのままあっさりと終わり、肩透かしを食らった。
いちゃいちゃ糖度は全体的に高めだが、通常CGのバリエーションが少なく、キスCGに頼りっぱなしで、イマイチ火力不足だったのは少々残念である。そういう背景もあって専用CGがある「処女をもらって下さい」発言シーンは、強烈に印象に残る。このシーンは、彼女の気質が強く表れており、キャラクター達の一連のやりとりも面白く、一見の価値はあるので、彼女を攻略してみて欲しい。
常陸 茉子
オススメ度:★★★★☆
性格や人柄
将臣と同学年で、穂織の巫女姫である芳乃の側仕えと護衛を務める忍者である。
普段から物腰柔らかく気丈夫で世話好き気質だが、揶揄ったり悪戯したりと茶目っ気も見せる。そして、料理・掃除・洗濯など朝武家における家事をすべて一人で熟し、そのうえお昼のお弁当まで手作りで準備してくれる。一方、異性とのコミュニケーション経験が少なく、女の子扱いされることに慣れておらず、ひそかに少女漫画のシチュエーションに憧れる純情で乙女なところもある。
異性として意識していない時には、ドキッとさせるような行動を積極的にするのに、意識するとやられっぱなしになるという、攻撃力全振りノーガード系ヒロインである。
個別ルートの感想
個別ルートは、生い立ちから色々なものを諦めて卑屈になっていた彼女が、呪いをきっかけに将臣と恋仲となり、殻を破って成長していく姿が描かれる。また、将臣が積極的にアプローチをかけることで、彼女が可愛いリアクションをしてくれるため、とても美味である。
最推しシーンを選ぶならば、疑似デートの最後で将臣が彼女に告白するシーンであろう。直後のシーンは小一時間ほどライターに苦言を呈したいが、そのシーンは彼の格好良さと彼女の可愛さのマリアージュが素晴らしいのだ。
ムラサメ
オススメ度:★★★★☆
性格や人柄
神刀「叢雨丸」の管理者となるために、500年ほど前に人柱となった少女の幽霊である。
そのため、一般人には姿も見えず会話もできないが、叢雨丸に縁のある芳乃・茉子・レナの三人は、彼女の姿が見えて会話ができる。さらに、その持ち主に選ばれた将臣は、それだけではなく、彼女との物理的接触が唯一可能である。
普段は、生意気な態度をとったり、頭を撫でられて喜んだりと、外見通りの子供っぽさを見せる。しかしながら、最年長ということもあり、時折大人の色気を感じさせる立ち振る舞いをするギャップがあるのも彼女の魅力の一つだろう。ロリババアキャラが好きな紳士淑女の性癖に直撃するヒロインである。
個別ルートの感想
個別ルートは、御神刀イベントが無くなり穂織の財政が傾いたことで、代わりの町おこしイベントを探し始め、奔走するうちに将臣と彼女が親密になるストーリーである。
彼女が人柱になる前の過去を知り、それから数百年にも及ぶ想いに触れる機会があるため、彼女を幸せにしてあげたいと考えるプレイヤーは少なくないだろう。シリアス要素が垣間見える彼女ではあるが、可愛らしさで我々の心を潤してくれるので安心して欲しい。将臣に膝枕するシーンは、彼女の魅力が凝縮されているので、攻略して是非ご堪能あれ。
レナ・リヒテナウアー
オススメ度:★★★☆☆
性格や人柄
志那都荘の人手不足解消のために従業員として雇われたラップランド出身の外国人留学生。
ハグした芳乃と茉子に「これが世界」という感想を抱かせるほどの驚異的なスタイルの持ち主だが、如何わしい本を見て卒倒するほど初心である。間違った用法の日本語を使って、周囲をヒヤリとさせることもあるが、本人の前向きでポジティブな性格で誤魔化せているのか、いつも事なきを得ている。
彼女は良い意味でも悪い意味でも表裏がなく、キャラクター性の味付けとなる癖やギャップがないため、物足りなさを感じることもあるが、王道的で正統派のヒロインとも言えよう。
個別ルートの感想
個別ルートは、穂織や叢雨丸など作品の根幹に関わる真相が盛り沢山な内容で、他ヒロインルートでの伏線が回収されてグランドエンディングとなる重要なストーリーである。
そのため、他ヒロインよりもいちゃいちゃ糖度が低めだからなのか、彼女がこの役割を果たすために創られたキャラクターであるように感じてしまって、それが残念でならない。しかし、その代わりにストーリーの質は全ヒロイン中最も優れており、終盤に近づくほど見どころが多くなっていき、プレイしていて面白く、読後感も良好である。
さて、そんな彼女のルートだが、お泊り会で二人で夜空を見ながら、将臣が告白するシーンはとても素敵なので、このシーンを推しとしたい。
作品評定
評点
全体的にどこかしら物足りなさを感じる薄い味付けだが、癖がなくバランスの良い仕上がりである。
したがって、本作は、美少女ゲームの入門としてオススメできる作品と言えよう。
評点の内訳
採点基準は、このブログについてページをご覧ください。
カテゴリ | 項目 | 点数 |
---|---|---|
シナリオ | 世界観 | 10/10点 |
構成 | 7/10点 | |
演出 | 6/10点 | |
合計 | 23/30点 | |
グラフィック | クオリティ | 10/10点 |
ボリューム | 8/10点 | |
合計 | 18/20点 | |
キャラクター | 作り込み | 9/10点 |
ボイス | 10/10点 | |
合計 | 19/20点 | |
プレイ環境 | 音楽 | 10/10点 |
動画 | 9/10点 | |
システム | 9/10点 | |
合計 | 28/30点 |
コメント
シナリオ
穂織に纏わる呪いを中心にしてストーリーが構築されており、完成度は高いと言える。
コンパクトできれいにまとまっているが、レナルートに伏線回収の役割が集中しすぎて、他のヒロインルートではコアテーマを十分に掘り下げられていなかった。そのため、全ルートの攻略を完了するまでは、消化不良感というか、物足りない印象があった。とはいえ、退屈や苦痛を感じることがほぼ無いので楽しみながらプレイできるし、完走できれば満足感が得られるため、ここは評価すべき点であろう。ただし、アフターストーリーが本編のエピローグよりも前の時系列になっていて、アフターではなくサイドストーリーのようになっているのは減点要素である。
グラフィック
いつも通りの高クオリティだが、通常CGとHCGのボリューム配分がアンバランスであった。個別ルートで、糖度高めなシチュエーションでCGがないのは、実際にそうではないのにボリューム不足を感じてしまうので、非常に残念である。
キャラクター
ヒロインの作り込みが良く、ボイスもキャラクターイメージにフィットしていて、とても魅力的である。
それぞれのヒロインについては、前述のメインヒロイン評論をご覧いただきたい。
音楽・動画・システム
OP「恋ひ恋ふ縁」は、KOTOKO曲ということもあり、ゆずソフト作品中トップクラスの良曲である。加えて、ED曲も作品や各ヒロインに合わせた和風な曲調で、音楽面は文句なしの満点。
そして、システムは、前作と比べて大幅に強化されており、お気に入りボイスシーン回想や、フローチャートなど、より作品に没入できるようになった。
作品購入リンク
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千恋*万花 感想&評価 レビュー
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