サノバウィッチ 感想&評価 レビュー

みなさん、ちゃろー☆
ゆずソフトより2015年に発売された「サノバウィッチ SABBAT OF THE WITCH」を攻略完了したので、作品の評価を感想付きでレビューします。

作品概要

あらすじ

主人公 保科ほしな 柊史しゅうじ は、先天的に「他人の自分に向ける感情を五感で受け取る」不思議な能力がある。
その力に苦しんだ結果、『姫松学院ひめまつがくいん』に入学する頃には、本心よりも場の空気や雰囲気を重視して、他人の頼みを断れない悪癖を持っていた。

とある日のこと、図書委員のクラスメイトのお願いを断れず、放課後に代理の作業をした柊史。
図書室の奥でひとり居残りしていると、綾地あやち 寧々ねね が異様な様子で入室してきたかと思いきや、清楚な彼女の思いがけない姿を目撃する。

それから始まる一連の出来事をきっかけに、彼女が「魔女」であることを知る。
魔女は、人から溢れ出た心の欠片を一定量回収し、対価に釣り合う代償を支払うことで、自分の願いを一つだけどんな事でも叶える魔法を発動できる。
先日の彼女の痴態は、対価となる重い代償によるものだったのである。

彼女が、それほどの代償を払ってまで魔女になった理由は何なのか?
なぜ彼が、苦しみを味わうような不思議な力を持って生まれてきたのか?
――交わることのなかった二人が出会った時、物語の歯車が回り始める。

登場キャラクター

メインヒロイン

  • 綾地あやち 寧々ねね桐谷きりたに はな
  • 因幡いなば めぐる(はるか そら)
  • 椎葉しいば つむぎ黒咲くろさき そら)
  • 戸隠とがくし 憧子とうこ明科あけしな まなさ)

サブヒロイン

  • 仮屋かりや 和奏わかな小鳥居ことりい 夕花ゆうか

各種スペック

システム

前作「天色*アイルノーツ」と比較して、本作から導入された新機能は太字で記載している。
※本作から、システム音でキャラクターボイスを選べるようになった

  • ストーリープレイ画面
    • セーブ・クイックセーブ、ロード(お気に入りボイス鑑賞)・クイックロード、前・次の選択肢へ移動、オート、一つ前のセリフに戻る、スキップ、ウインドウ非表示、音声リピート、お気に入りボイス登録、システム設定、バックログ(シーンセレクト)
  • エクストラモード
    • CG鑑賞、BGM鑑賞、シーン鑑賞、ムービー鑑賞、立ち絵鑑賞
  • システム設定
    • 画面表示、ゲーム進行、テキスト、サウンド、ダイアログ、マウス、ショートカットキー

シナリオ

ヒロインの攻略完了ごとに、アフターストーリーがアンロックされる(寧々・めぐる・紬・憧子・和奏で1話ずつ)。

  • 共通ルート
    • チャプター数:25(構成:1-1~6、2-1~3、3-1~9、4-1~7)
  • 綾地 寧々ルート
    • チャプター数:43(構成:4-8・5-1~9・6-1~7・7-1~5、RESTART 0-0・1-1~2・2-1~10・3-1~7、エピローグ)
    • 目安プレイ時間:6時間50分(うち、RESTART 1時間55分)
  • 因幡 めぐるルート
    • チャプター数:30(構成:4-8、5-1~4、6-1~4、7-1~5、8-1~9、9-1~6、エピローグ)
    • 目安プレイ時間:6時間10分
  • 椎葉 紬ルート
    • チャプター数:28(構成:4-8、5-1~5、6-1~7、7-1~7、8-1~7、エピローグ)
    • 目安プレイ時間:5時間10分
  • 戸隠 憧子ルート
    • チャプター数:29(構成:4-8、5-1~5、6-1~7、7-1~6、8-1~5、9-1~4、エピローグ)
    • 目安プレイ時間:5時間30分
  • 仮屋 和奏ルート
    • チャプター数:18(構成:4-5~6、5-1~7、6-1~8、エピローグ)
    • 目安プレイ時間:4時間00分

ムービー曲

  • オープニング
    • 「恋せよ乙女!」 歌:米倉千尋
  • エンディング
    • 寧々ルート 「Re:Start~君とまた出逢えて~」 歌:神代あみ(Angel Note)
    • めぐるルート 「天使の羽とクリスタル」 歌:Riryka(Angel Note)
    • 紬ルート 「スカート」 歌:葉月(Angel Note)
    • 憧子ルート 「君がくれた光」 歌:カサンドラ
    • 和奏ルート 「大好き」 歌:中山♡マミ(Angel Note)
  • 挿入歌
    • 和奏ルート 「Without You」 歌:神代あみ(Angel Note)

メインヒロイン評論

綾地 寧々

オススメ度:★★★★★

性格や人柄

柊史のクラスメイトで、オカルト研究部所属。アルプと契約した魔女。
温厚篤実で堅忍質直、そして才色兼備であり、オカルト研究部で人助けやお悩み相談を行っている。
その一方で、魔女契約の代償がいつ起こるか分からないため、他人と一線を引いている。
立ち振る舞いから大人っぽいクールな美少女と認識されており、男女問わず慕われている二年生のアイドル的存在で、学生会長の戸隠憧子と人気を二分すると評される。
しかし、彼女の印象は、個別ルートに入るとガラリと変わる。
大人っぽいクールさは張りぼてで、その実、子供っぽくて積極的である。そのギャップが、彼女の魅力を最大限に引き立てる味わい深いものにしている。

見どころ

個別ルートは、家族の形と寧々の成長の二つに焦点を当てるストーリーとなっている。
他ヒロインルートと比して、色々と重い内容となっており、彼女がひとりで暮らしている理由等も徐々に語られていく。
何でも願いを叶えられる都合の良い存在である「魔法」ですら、願い方を少しでも間違えば都合が良くなるわけではない。
しかし、彼女は、都合の良いそれが無くても、様々な艱難辛苦を自分の力で乗り越えて成長していくのである。
彼女の個別ルートは、それだけで一つの作品として完成しているので、しっかりと時間をとって攻略してみて欲しい。

綾地 寧々

因幡 めぐる

オススメ度:★★★★☆

性格や人柄

柊史の一つ年下の後輩で、作中でオカルト研究部に所属する一般人。
普段からおしゃれで派手な身なりのために遊んでいる印象だが、内面は天衣無縫の乙女である。
ゲームを始め、料理や読書など、インドアで一人でも完結できることを趣味として好む。
また、浅く広く友人が沢山いるよりも深く狭い関係の友人が一人いれば良い、という考え方である。
そのため、柊史と寧々が、部室で二人だけで会話していたり、アイコンタクトで会話をしていたりすると、嫉妬するのである。
二人から除け者にされたと自分勝手に考えて嫉妬する彼女は、可愛くて微笑ましい。
なお、彼女は、伝説のあいさつ「ちゃろー」を世に生み出した奇才である。

見どころ

事の発端は、入学直後に数日間病欠し、クラスメイトと打ち解ける好機を逃したことにある。
結果的に、柊史が彼女の趣味を知り、ゲームを活用してクラスメイトと打ち解けられた。
しかし、彼女の悩みの根本要因は、人付き合いが下手で、相手との距離の詰め方が分からないことによるものであった。
どうしてこのようになったのかは、個別ルートにて彼女の過去が明かされることで判明する。
なお、慕っている相手には、好きな感情を最大限に振り撒いてべったりな態度を取る子犬系な彼女である。
ゆえに、めぐるのような子が彼女だったらなぁ、と夢想してしまう紳士は少なくないであろう。ちなみに、私はそうである。

因幡 めぐる

椎葉 紬

オススメ度:★★★☆☆

性格や人柄

作中で柊史と同じクラスに転入して、その後オカルト研究部に所属する魔女。
春風駘蕩で、争いを好まず、一生懸命に頑張る性格である。
魔女契約の代償により、女の子っぽい服装をすればするほど具合が悪くなるようになったため、普段は男装している。
その一方で、本来は可愛くて女の子らしい恰好を好む。
彼女の魔女服は可愛く、本人にとっても普段は着られない可愛い服であるので、とても気に入っている。

見どころ

個別ルートは、彼女のアルプを中心にストーリーが展開されていくため、彼女自身が脚光を浴びることは極端に少ない。
そのため、他のヒロインルートと異なり、メインであるはずの彼女の印象が残りにくくなっているのが残念でならない。
それは、乗り越えるべき重大な課題を彼女自身が持っていなかったことも原因の一つであろう。
さて、苦言を呈するような形となってしまったが、もちろん彼女もしっかりと可愛さを備えているのでご安心を。
彼女は、本中で最も母性が強いヒロインなので、バブみを感じてみたい紳士は是非攻略してみてほしい。

椎葉 紬

戸隠 憧子

オススメ度:★★★★☆

性格や人柄

柊史の一つ年上の先輩で、学生会長を努める一般人。
共通ルートの途中で学生会を引退してからは、オカルト研究部に所属する。
三年生のアイドル的存在であり、前述の通り綾地寧々と学院の人気を二分するほどの人望を持つ。
温柔敦厚で、洞察力に優れ、気遣い上手だが、人を揶揄うのを好きなお茶目な面もある。
柊史の不思議な力が効かない唯一の人物であり、声をかける度にいつも彼を驚かせている。

見どころ

個別ルートは、恋愛をテーマとするストーリーとなっている。
序盤の「部活(仕事)と私、どっちが大事か?」というお悩み相談に対する考察や回答は、なるほど、そういう考え方もあるのか、と大いに勉強になった。
徐々に仲が深まっていくと、彼女が、自身をつまらなくて中身のない人間であると思い悩んでいることが露見する。
そして、前述の柊史の不思議な力が効かないことや、安心感や親近感を覚えると発言する理由。
実は、これらはつながっているので、その答えは、あなた自身がプレイすることで確かめて欲しい。
なお、作中で最も良い女性は誰かと問われた時、私は彼女の名前を最初に挙げる。
尻に敷かれていることを感じさせずに、手のひらの上で気持ちよく転がされたい、と思っている紳士には是非推したい。

戸隠 憧子

作品評定

評点

ゆずソフトの作品の中でもトップクラスの出来であると評しても過言ではなかろう。
キャラゲーよりもシナリオゲーの方が好きな人にも、自信を持っておすすめできる逸品である。

評点の内訳

採点基準は、このブログについてページをご覧ください。

カテゴリ項目点数
シナリオ世界観9/10点
構成9/10点
演出8/10点
合計26/30点
グラフィッククオリティ10/10点
ボリューム10/10点
合計20/20点
キャラクター作り込み8/10点
ボイス10/10点
合計18/20点
プレイ環境音楽9/10点
動画9/10点
システム8/10点
合計26/30点

コメント

シナリオ

本作は、全ての個別ルートで魔女や魔法を軸にしてストーリーが展開されており、非常に完成度の高い仕上がりとなっている。
寧々ルートに対する力の入れ具合もさることながら、他ヒロインルートも涙腺が緩む展開を始め、プレイヤーを満足させる演出がしっかりできていて、読後感が良好である。
しかし、めぐるルートの最後半の展開が間延びしているように感じることや、紬ルートにおける納得感の低いストーリーと演出が、減点要因である。
これらは非常に惜しいと言わざるを得ないが、ゆずソフトの作品の中では、間違いなく最高クラスのシナリオであろう。

グラフィック

本作もいつも通り、むりりん先生・こぶいち先生のCGと、こもわた遙華先生のSDも、文句なしの満点。

キャラクター

ボイスに関しては、キャラクターとCVが完全にマッチしていてイメージ通りであった。
一方、キャラクターの作り込みについては、めぐるに関しては完璧である。
しかし、他のヒロインはそうとは言えず、惜しいところがあった。
各ヒロインについての詳しい評論は、前述のメインヒロイン総評をご覧いただきたい。

音楽・動画・システム

OP「恋せよ乙女!」は、攻略前でも素晴らしい曲であるが、攻略後に聴きなおすと歌詞も含めて神曲であることが分かるであろう。
しかし、コーラス入りのBGMが、プレイ中に気になり集中を削ぐことがあったので、音楽の減点要素となった。
システムは、フローチャート機能がある近年の作品をプレイしてしまうと、快適性に少々不足を感じた。

作品購入リンク

レビューを見て本作が気になったら、DMM または Steam から購入してプレイしてみてください。

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サノバウィッチ 感想&評価 レビュー

https://blog.chaotic-notes.com/articles/sabbat-of-the-witch-review/

作者

Hiroki Sugawara

投稿日

2023-12-04

更新日

2024-04-20

ライセンス