グロービスMBA 第三部 アカウンティング 要約 中編

グロービスMBA 第三部 アカウンティング 要約 中編

今回は、書籍「グロービスMBAマネジメント・ブック」第三部「アカウンティング」の要約となる中編記事をお届けします。

会計トピックス

連結会計

大企業は、多数の子会社や関連会社を持つ。これらは、法律上別個の企業だが、活動実態を見ると1つのグループと考えるのが妥当である。ゆえに、国際会計基準や米国会計基準は、連結会計を主とする。そのため、日本でも公開会社を対象に2000年3月期より連結を主とするものに変更された。

セグメント情報

売上高・営業利益・資産等の情報を、事業種別や連結会社の所在地別等のセグメント毎に提供するものを言う。全体の売上高のうち10%超を占めるセグメント情報は開示しなければならない。

子会社・関連会社

連結対象となる子会社は、持株基準または支配力基準の判定に基づく。持株基準とは、親会社が過半数の株式を所有していることで、支配力基準とは、持株50%以下でも、親会社が役員派遣等で子会社の財務・経営を実質的に支配していることである。
一方、親会社が20%以上50%以下の議決権付株式を保有する場合、連結対象の関連会社とみなす。親会社の財務諸表には、関連会社の資産・負債・純資産を合算せず、その会社の利益のうち、親会社持株比率相当分だけを利益として連結財務諸表に含める「持分法」で、会計処理を適用する。

連結財務諸表特有の勘定科目

連結貸借対照表を作成する場合、親会社と連結子会社の貸借対照表を合算するが、企業集団内部の取引項目は相殺消去する。具体的には、以下の方法をとる。

連結財務諸表特有の勘定科目

税効果会計

収益や費用に関する規定が異なるため、財務会計の利益と税務会計の課税対象所得は必ずしも一致しない。その一方で、会計規則には費用収益対応原則がある。そこで、それらの差異を合理的に期間対応させるための会計処理手続きが「税効果会計」である。
税効果会計では、財務会計で計算した納税額よりも、税務会計で計算した納税額の方が小さい場合は、将来の租税負担として「繰延税金負債」を計上する。また、本来納付すべき法人税等のうち、財務会計で計算した当期利益に対応する部分だけを財務会計上の税金とし、実際に払う税務会計上の法人税等の残りは翌期以降に費用計上を繰り延べ、「繰延税金資産」を計上する。
こうした税効果会計の適用により、貸借対照表には「繰延税金資産」や「繰延税金負債」が、損益計算書には「法人税等調整額」が記載されることになった。

退職給付会計

退職給付会計とは、従業員が退職する時に企業が支払う退職金・企業年金を厳格に見積もり、これに対する企業の対応状況を開示する会計制度である。公開企業では、2001年3月決算から適用が義務付けられている。
かつての日本の退職金・企業年金は、確定給付型だった。企業は拠出金を積立運用していたが、低金利だと利回りを確保できず、給付必要額に達しない、ということが起こる。この不足分は支払いまで顕在化せず、隠れ債務という形で財務会計上の不整合要素だった。しかし、会計のグローバリゼーションが進むと、より透明度の高い開示制度が求められ、改善が図られた。
確定給付型で生じる問題の対応として、将来の企業年金の給付水準が上下するリスクを従業員が負う確定拠出型の導入を検討する企業も増えている。

退職給付会計

時価会計(有価証券)

従来の低価法と売買目的有価証券の評価方法

従来

かつての日本では、「原価法(原則取得原価法)」と「低価法」の2つの基準から選択して、保有有価証券を計上していた。
原価法では、過去に購入した株式は、現在の市場株価に関わらず、貸借対照表に購入時価格で計上する。その一方で、将来の損失は出来るだけ早期に見込むべきという保守主義の要請もある。そこで、市場性のある証券に限り、保有有価証券の市場価格が取得価格より低下した時のみ、時価を反映させる低価法を選択できるようになっていた。

会計基準変更後

2001年3月期の有価証券報告書から新会計基準が適用され、保有有価証券の計上基準が変わり、保有目的別に以下の4つの基準が適用されるようになった。国際会計基準と米国会計基準に則した内容となったため、これまでの選択制から強制適用になり、従来の低価法が無くなった。

会計基準変更後の時価会計

指標分析

指標分析は、経営実態を見抜いたり、様々な意思決定を行う際に有効である。比率を用いることで、規模の違う競合他社との比較や時系列での評価が可能となる。

企業の総合力分析

ROEとROAの関係性

総資産利益率(ROA)

収益性分析の代表的な指標で、経営者が総資産という経営資源を使ってどれだけ利益を上げたかを見られる。高めるためには、売上高当期利益率あるいは総資産回転率を向上させる必要がある。

自己資本利益率(ROE)

資本投下に対する利益率を示し、株主の投資がどの程度のリターンを生み出すかを示したものである。上げるには、財務レバレッジ、総資産回転率、売上高当期利益率を向上させる必要がある。

企業の収益性分析

売上高を100%として損益計算書の構成比率を計算すると、収益構造と費用構造が見える。つまり、原材料や仕入れ品に価値を付加し、市場にそれを認知させたプロセスを読み取れる。
売上高利益率は、企業の営業プロセスにより規定されるため、事業形態や業種が異なる企業同士の比較で優劣はつけられない。しかし、似通った事業プロセスの企業や同一企業を時系列で比較することで、様々な事が分かる。そのため、多角化企業は事業部門毎に分析することが望ましい。

付加価値のプロセスと費用構造

各段階の利益率

企業の存続・成長の裏付けとなる利益が、その源泉となる売上高からどの程度の比率で残るかという点は、事業活動を実際に行っている従業員にとって大きな関心事となろう。

各段階の利益率

企業の安全性分析

安全性分析の指標と期間のマッチング

自己資本比率

自己資本は親会社株主持分の総額(株主資本+評価・換算差額等)で、総資本(負債+純資産)に占める割合を示す指標。これが大きいと安定度が高く、業績悪化で債務超過を避ける抵抗力があると言える。

流動比率

流動負債と流動資産の比率であり、150%から200%程度が望ましい。流動資産には、長期未回収の売掛金・不良在庫が多く含まれる可能性があり、注意を要する。

当座比率

流動資産のうち、現金化しにくいたな卸資産等を除いた当座資産と流動負債の比率である。安全性を測る意味では、流動比率よりもさらに正確である。この比率は、100%以上が望ましい。

固定比率

純資産に対する固定資産が占める割合を表す指標であり、固定資産の調達がどれだけ純資産によって賄われているかを示す。この比率は100%以下であるのが望ましい。

固定長期適合率

純資産に社債と長期借入金を加えたものが、純資産に対する割合がどれくらいかを表した指標で、長期に安定した調達手段をより広義に捉えたもの。

インタレスト・カバレッジ・レシオ

支払利息を営業利益と金融収益の合計で割ったもので、事業利益が支払うべき金利の何倍あるか、金利支払能力を示す指標。この指標は高い方が良いが、企業との成長度合いとの関係で評価するべきである。

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グロービスMBA 第三部 アカウンティング 要約 中編

https://blog.chaotic-notes.com/articles/summarize-globis-mba-management-book-part3-vol2/

作者

Hiroki Sugawara

投稿日

2025-07-21

更新日

2025-07-21

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