喫茶ステラと死神の蝶 感想&評価 レビュー
みなさん、ちゃろー☆
ゆずソフトより2019年に発売された「喫茶ステラと死神の蝶(カフェステラ)」をクリアしたので、作品の評価を感想付きでレビューします。
作品概要
あらすじ
とある日、『一星大学』の学生である主人公 高嶺 昂晴 は、朝起きて半日を過ごしてから、夕方に不慮の事故に遭い命を落とす、リアルな夢を見る。
彼は、夢から覚めた後も、次々と同じ出来事が再現されていくことに恐怖を覚えつつ、その時刻に現場を訪れる。しかし、事故は起こらず、彼は、『死神』の 明月 栞那 と『人語を喋る猫』のミカドに出逢う。
夢は一回目の現実であり、二回目の今も死から逃れられてない、と彼女らから聞いた彼は、それを回避するために死神の仕事を手伝うことになる。それは、四季 ナツメ の幼少からの夢であった喫茶店を開店させることだった。
これは、大人の階段を登りたい執念深い男が、現実すら捻じ曲げ世界の時を巻き戻して始める、迫りくる死の運命を回避しながら、生きることを紡ぐ恋の物語である。
登場キャラクター
メインヒロイン
- 明月 栞那(CV:麻倉 亞恋、原画:こぶいち)
- 四季 ナツメ(CV:夏和小、原画:むりりん)
- 墨染 希(CV:上原 あおい、原画:むりりん)
- 火打谷 愛衣(CV:音来内 麗、原画:こぶいち)
サブヒロイン
- 汐山 涼音(CV:木之 みき)
各種スペック
システム
前作「RIDDLE JOKER」と比較して、本作から導入された新機能は太字で記載している。
※本作では、メインヒロインのエピローグ終了時・全ヒロイン攻略達成後・アフターストーリー完全読了後の計6回、タイトル画面のスチルが更新される(解放済みスチルであれば、リストから任意変更可)
- ストーリープレイ画面
- セーブ・クイックセーブ、ロード・クイックロード、前のテキストへ移動、前・次のシーンへ移動、前・次の選択肢へ移動、オート、スキップ・バックスキップ、ウインドウ非表示、音声リピート、お気に入りボイス登録、システム設定、バックログ、フローチャート、スクリーンショット保存、タイトル画面へ移動
- エクストラモード
- CG鑑賞、BGM鑑賞、シーン鑑賞、ムービー鑑賞、立ち絵鑑賞、お気に入りボイス鑑賞+シーン回想
- システム設定
- 基本、画面表示、ゲーム進行、テキスト、サウンド、ダイアログ、マウス、ショートカットキー、ゲームパッド
シナリオ
- 共通ルート
- PROLOGUE から Chapter 4 まで(チャプター総数 32)
- 個別ルート
- 栞那ルート(チャプター総数 20)、ナツメルート(チャプター総数 27)、希ルート(チャプター総数 21)、愛衣ルート(チャプター総数 28)、涼音ルート(チャプター総数 15)の5つ。このうち、涼音ルートは、栞那・ナツメ・希・愛衣のうちいずれか一人以上のエピローグを見終えた場合にアンロックされる。
- エンディング
- 全部で 7 つあり、うち 5 つは各ヒロインルートのエンディング、残り 2 つはノーマルエンドとバッドエンドで構成される。
- アフターストーリー
- 各ヒロインのエピローグまで見終えるごとに、そのヒロインのアフターストーリーがアンロックされる(栞那・ナツメ・希・愛衣・涼音で 1 話ずつ)。
ムービー曲
- オープニング
- 「Smiling-Swinging!!」 歌:米倉千尋
- エンディング
- 栞那ルート 「スイートマリアージュ」 歌:神代あみ(Angel Note)
- ナツメルート 「@Your Side」 歌:羽生みいな(Angel Note)
- 希ルート 「ほんとにありがとう」 歌:中山♡マミ(Angel Note)
- 愛衣ルート 「光」 歌:葉月(Angel Note)
- 涼音ルート 「Cold&Sweet」 歌:emari+
メインヒロイン評論
明月 栞那
オススメ度:★★★★★
性格や人柄
百年以上、現世に滞在している死神。
普段は大人びた雰囲気のお姉さんでありながら、たまに子供っぽい茶目っ気も見せる。自分自身を慎み深い乙女だといつも豪語しているが、何かと発想や思考が下ネタ方面に行ってしまうド変態である。
ケット・シーのミカドには、頭の中がオッサン臭い色情淫乱死神娘、ナツメには、処女を拗らせている、と評されている。
機械の操作が苦手なため、スマートフォンのような最新機器は持っておらず、最新の流行にも疎い。
個別ルートの感想
個別ルートは、死神と蝶がどのような存在か、彼女は何者なのか、そういった本作の根幹部分の種明かしがされる、彼女と昂晴が密接に関与するストーリーである。
序盤から中盤にかけて、彼女と昂晴が互いに惹かれあう様子と、楽しい思い出を積み重ねる描写がされながら、二人の間にあった因縁が、昂晴の見る夢という形で少しずつ開示される。中盤で、昂晴と彼女のお付き合いが無事に始まったかと思いきや、まさかの展開が。この時に、面識がないはずの昂晴に対して、彼女が高い信頼を寄せている理由や事情が判明するため、間違いなく涙腺が崩壊するだろう。
もちろん最後は、安心のハッピーエンド。あらゆる観点で高品質なので、是非ご一読願いたい。
四季 ナツメ
オススメ度:★★★★★
性格や人柄
昂晴と同い年で、一星大学に通う三年生。容姿端麗のためか、告白された回数は数えきれず、その全てを断ってきたことから、孤高の撃墜王として有名。
淡白でつれない発言や態度でクールに見えるが、満面の笑顔が苦手なひねくれ者であるだけで、冗談を言ったり、ドジだったりと、意外と親しみやすいキャラクターである。
また、コーヒー、ゴーヤー、ピーマンなど苦味のある飲食物が苦手で、性的な話題も不慣れなためか初心な反応を見せる、可愛らしいところもある。
個別ルートの感想
個別ルートは、死神が彼女に関与する理由と、カフェ開業に奔走するに至る因果を、ストーリーを介してプレイヤーへ説明する重要なシナリオである。
序盤は、昂晴と仲を深めて積極的になった彼女の、男心を擽るからかいが巧く、グッと来て最高だった。しかし、中盤になると、風向きが変わってシリアスな展開に。彼女は、幼少期に病弱で入退院を繰り返し、生きることへ消極的になっていた。そんな彼女に希望を抱いて貰うために昂晴が行動を起こす。そのため、作中で彼が最も主人公然としていたのではなかろうか。
終盤には、彼女との至高のイチャイチャタイムが待ち受けているので、最後まで美味しく頂ける物語にまとまっていたと言える。
墨染 希
オススメ度:★★★★★
性格や人柄
昂晴より年下の幼馴染で、白瀧学園に通う高校二年生。
赤磐神社の神職を代々継いできた社家が実家のため、たまに手伝いで巫女をしている。霊感体質で、蝶を見ることはできないが、気配を感じ取ることはできる。
毎日美味しいご飯を作って朝起こしてくれる、甘やかしお姉さん気質。そして、昂晴のふざけた冗談にもノリを合わせる、明朗で優しい性格も兼ね備える。その一方で、独占欲が強く、嫉妬深い一面もある。
個別ルートの感想
個別ルートは、赤磐神社とそこに現れる赤い蝶、そして年末開催の奉納式を軸に、昂晴と彼女が仲を深めながら、物語が進展する。
序盤は、彼女も昂晴も幼馴染の距離感に甘んじていて、友達以上恋人未満の関係性から変わらず、じれったくてやきもきすることも。しかし、彼女が奉納式で舞を披露することになり、一緒にいる時間が増える中盤に差し掛かれば、ニヤニヤできるシーンが多くなり満足感を得られた。そして、終盤は、赤磐神社と赤い蝶の関係性、彼女が霊感体質である理由が解き明かされていき、ほろりと涙がこぼれる感動モノに仕上がっていた。
千恋万花では見れなかった、祝詞付きでの舞の奉納イベントシーンがあるので、前々作で不完全燃焼だった方は是非攻略してほしい。
火打谷 愛衣
オススメ度:★★★★☆
性格や人柄
四季ナツメの母校である巻機女学院に通う高校二年生で、墨染希とは中学校時代の級友。縁故採用ではなく、開業前の店外に掲示したアルバイト募集の張り紙を見て応募してきた。
表裏がなく単純な性格で、何事にも物怖じせず周囲に明るく元気な笑顔を振り撒くムードメーカー。その反面、精神面は、打たれ弱く卑屈で脆さがある。我を失うほど可愛いもの全般が好きで、その中でも特にぬいぐるみが好きだが、ガサツな自分には似合わない趣味だと考えている。
個別ルートの感想
個別ルートは、蝶を捕まえられる虫喰の瞳を左目に宿した、彼女を中心としたストーリーで展開される。
序盤は、彼女が瞳の秘密を打ち明けたり、昂晴と一緒に切磋琢磨しながらカフェで働いたりすることで、次第に仲良くなっていく様子が丁寧に描かれる。中盤から終盤にかけては、彼女がカフェで働く前にやっていた、水泳をやめることになった原因である友人との確執を、昂晴の手助けや彼女自身の成長により解決に導いていく、良くも悪くも王道モノだった。
ぶっちゃけ、ストーリーは添え物と言った感じで、からかい甲斐と可愛がりたくなる後輩感がある彼女の可愛さがあって成立している点も否めないので、無心でプレイしたい人にはオススメできる。
作品評定
評点
シナリオ・グラフィック・キャラクター・プレイ環境のすべてにおいて最高水準の品質である。
キャラゲーとしての側面も持ちつつ、シナリオゲーとしての側面も兼ね備えた至高の名作であろう。
評点の内訳
採点基準は、このブログについてページをご覧ください。
カテゴリ | 項目 | 点数 |
---|---|---|
シナリオ | 世界観 | 9/10点 |
構成 | 9/10点 | |
演出 | 9/10点 | |
合計 | 27/30点 | |
グラフィック | クオリティ | 10/10点 |
ボリューム | 10/10点 | |
合計 | 20/20点 | |
キャラクター | 作り込み | 9/10点 |
ボイス | 10/10点 | |
合計 | 19/20点 | |
プレイ環境 | 音楽 | 9/10点 |
動画 | 9/10点 | |
システム | 10/10点 | |
合計 | 28/30点 |
コメント
シナリオ
全てのメインヒロインの個別ルートにおいて、「蝶」を軸としたテーマとしたストーリーとなっており、シナリオゲーとしてもかなり出来が良い。
本作は、過去作にあった説得力のない強引な展開やダラダラとした展開がなく、コンパクトに丁寧で納得する内容である。そして、涙腺が緩んだり、笑みが浮かんだり、感情が適度に揺さぶられるため、しっかりとした充足感がある。
完璧ではないが、ゆずソフトの作品の中で、最高品質であるのは間違いない。
グラフィック
今作も期待を裏切らず、むりりん先生・こぶいち先生のCGとこもわた遙華先生のSDは、文句なしのクオリティを誇る。加えて、通常シーンとHシーンのイベントスチルのボリュームバランスも良いため、飽きさせない工夫が凝らされている。
キャラクター
万人受けするような程よい味付けの個性に、マイルドな可愛らしさも持ち合わせていて、ヒロインとしての魅力を上手に演出できている。
それぞれのヒロインについての詳細は、前述のメインヒロイン評論をご覧いただきたい。
音楽・動画・システム
OP「Smiling-Swinging!!」は、作品のテーマにフィットした良曲で、EDも各ヒロインの個別ルートの内容に合わせた曲となっている。
また、システムにおいても、ノーストレスにプレイでき、ビジュアルノベルゲームとしては理想を体現した仕上がりである。
作品購入リンク
レビューを見て本作が気になったら、DMM または Steam から購入してプレイしてみてください。