
箱根ヶ崎と町田につながる多摩都市モノレール延伸計画
北は瑞穂町のJR箱根ヶ崎駅へ、南は町田市のJR・小田急町田駅へ、多摩都市モノレールの路線延伸を予定している計画についてご紹介します。
はじめに
多摩都市モノレールは、東京都の多摩地域における相互連携強化と、南北を結ぶ公共交通の拡充を目的として、東京都並びに多摩都市モノレール株式会社によって整備された、上北台駅から多摩センター駅までの19駅を結ぶ、全長16kmに及ぶ路線です。
玉川上水駅で西武拝島線に、立川北駅及び立川南駅で JR中央線・青梅線・南武線に、高幡不動駅で京王線・動物園線に、多摩センター駅で京王相模原線と小田急多摩線に接続することで、東西に伸びる各鉄道路線と乗換できるようになっており、東京都区部方面等への連絡輸送を担っています。
壮大な路線構想と歴史
1981年の「多摩都市モノレール等基本計画」の調査報告で、およそ93kmの構想路線を発表。1987年には、上北台駅から多摩センター駅までの区間の軌道法に基づく免許を多摩都市モノレール株式会社が取得し、都市計画決定は1989年に告示されました。
建設工事は、1990年から上北台駅から立川北駅までの区間で始まり、遅れること1年後に立川北駅から多摩センター駅までの区間も始まります。それから数年の月日を経た1998年に、上北台駅から立川北駅までの区間が先行開業し、その2年後の2000年に、立川北駅から多摩センター駅までが延伸開業しました。

その後は長い間、延伸の動きはありませんでしたが、2016年の交通政策審議会答申「東京圏における今後の都市鉄道のあり方について」にて、多摩都市モノレールの延伸(箱根ヶ崎方面、町田方面、八王子方面)が、目指すべき姿を実現する上で意義のあるプロジェクトとされました。
この記事では、具体的に進捗が見られる、上北台駅からJR箱根ヶ崎駅方面までの路線延伸と、多摩センター駅からJR町田駅方面までの路線延伸の、2つの計画についてご紹介します。
2つの路線延伸計画
箱根ヶ崎駅方面
箱根ヶ崎駅方面は、北側の終点駅である上北台駅(東大和市上北台一丁目)から、JR箱根ヶ崎駅方面(西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎)に至る、およそ7kmの東大和市・武蔵村山市・瑞穂町を跨ぐ区間で、路線を延伸する計画になります。また、この計画の実施に伴い、当該区間に重なる新青梅街道と東京環状線において、区域及び幅員の変更も行われます。
この区間の都市計画は、東大和市及び武蔵村山市の部分が「立川都市計画都市高速鉄道都市モノレール第1号線」の名称で、瑞穂町の部分が「福生都市計画都市高速鉄道都市モノレール第1号線」の名称で、それぞれ扱われています。

この区間が延伸開業すれば、様々な効果が期待できます。一番に注目すべきは、「鉄道」という公共交通機関で武蔵村山市に行けるようになり、多摩地域の鉄道空白地帯が一つ減ることです。他にも、八高線箱根ヶ崎駅から中央線立川駅まで乗り換えなしで行ける短絡経路となり、JR線にトラブルがあった際の代替路線の役割を果たせることも忘れてはいけません。
現在の進捗状況
2025年2月6日に、東京都が環境影響評価書を東京都知事(環境局)に提出し、同日開催の都市計画審議会で議決されました。およそ一ヶ月後の3月6日には、東京都により都市計画決定が告示され、5月16日から20日までの期間で、事業概要及び測量説明会が開催されました。
実施済みの行事等
年月 | 行事 |
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2022年10月 | 都市計画素案の説明会開催 調査計画書の提出 |
2022年10月から 12月まで | 都市計画案の作成 |
2023年11月 | 環境影響評価書案の作成及び提出 |
2023年12月 | 都市計画案の説明会及び環境影響評価書案の説明会の開催 |
2024年5月 | 評価書案に係る見解書の作成 |
2024年5月から 2025年2月まで | 環境影響評価書の作成 |
2025年2月 | 環境影響評価書の提出 都市計画審議会の開催 |
2025年3月 | 都市計画決定の告示 |
2025年5月 | 事業概要及び測量説明会の開催 |
今後開催予定の行事等
- 令和7年度(2025年4月~2026年3月)予定(概ね一年)
- 用地測量の実施
- 都市計画事業認可
- 用地説明会
- 用地の取得
- 工事着手
各種横断図
一般部と駅部は、それぞれ以下の横断図のように整備される計画です。

一般部
現況の新青梅街道は、車道の幅員が6.5m(上下線合算で13m)で、歩道の幅員が2.5m(上下線合算で5m)の合計幅員18mです。大型車は、車線ギリギリかちょっとはみ出ることがあるので、運転に注意が必要な道路です。将来は、車道の幅員が8mとなり、走りやすい道路に変わるのは嬉しいですね。
駅部
既存開業区間は、相対式ホーム2面2線で竣工しました。一方で、新規開業区間は、コストカット等の観点から、島式ホーム1面2線で整備される予定です。延伸終着駅であるNo.7の完成イメージを見ると、フルスクリーンホームドアのようなので、コストカットできるのかは疑わしいところです。

町田駅方面
町田駅方面は、南側の終点駅である多摩センター駅(多摩市落合一丁目)から、JR・小田急町田駅方面(町田市原町田六丁目)に至る、およそ16kmの多摩市・町田市を跨ぐ区間で路線を延伸する計画です。2021年12月に、検討委員会によって、延伸ルートが選定されました。箱根ヶ崎方面の延伸計画とは異なり、都市計画の策定まで至っていないため、工事着手まではかなりの年数を要するでしょう。

おわりに
2030年以降も、多摩都市モノレールの延伸と共に周辺道路の整備が進んでいきます。それに伴って積極的に再開発も行われるでしょう。そういったことを考えれば、これからの時代は、沿線の多摩地域に居を構えることを選択肢に入れることも、アリではないでしょうか。
参考文献
共通
箱根ヶ崎方面
町田方面
箱根ヶ崎と町田につながる多摩都市モノレール延伸計画
https://blog.chaotic-notes.com/articles/introduce-tama-intercity-monorail-extension-plan/